多坐弥志理都比古神社

多氏の本拠地とされる奈良県磯城郡田原本町多には、多氏に関わる神社が複数鎮座します。

飛鳥川東岸に鎮座する、多坐弥志理都比古神社は、『延喜式』神名帳では「多坐弥志理都比古神社二座」とあり、大和国十市郡の名神大社とされます。

皇子神命神社・姫皇子命神社・小社神命神社・屋就神命神社はその皇子神であると記されます。

4社は、多坐弥志理都比古神社を取り巻く形で鎮座します。

『和州五郡神社神名帳大略註解巻四補欠』(永享5年(1433)牟佐神社禰宜宮道君の署名あり)では、本社二座と四皇子神を意富六所神社として、本社二座の右に、若宮として、皇子神命神社・姫皇子命神社の小祠が祀られ、本社の南一里二町平森に、別宮として、小社神命神社・屋就神命神社の小祠が祀られていたと書かれます。

また、同書所引「多神宮註進状」では、小社神命神社は「樹森神社瓊玉戈神命」、屋就神命神社は「日月神社火満瓊神命」とあります。

◇ 『和州五郡神社神名帳大略註解巻四補欠』所引「多神宮註進状」に、多坐弥志理都比古神社・皇子神命神社・姫皇子命神社・小社神命神社・屋就神命神社と河内国の諸社との同体異名関係が記される。(→ 『多神宮註進状裏書』にみえる河内国の神社

◇ 「こもり」の名称は、丹後国与謝郡の籠神社、大和国添上郡の率川神社にもみられる。(→ 率川坐大神神御子神社)(→ 「海部氏系図」と難波根子武振熊・倭直


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